2018-09-01から1ヶ月間の記事一覧

九月尽

○九月尽仕切り直して水を飲む (くがつじんしきりなおしてみずをのむ) ○涼しさにまだ慣れぬ日の九月尽 秋甫 ○颱風の同じ道来て九月尽 々 ○捨てるものばかり集めて九月尽 々 颱風24号 朝から準備万端颱風を待っています。沖縄から、奄美へ、やがて九州の南の…

芒原

○芒原出て来て尻尾生えてをり (すすきはらでてきてしっぽはえており) ○芒野に人の逝く道すでにあり 秋甫 ○夕阿蘇に産毛生えたり銀薄 々 ○幾たびも野分に耐えし芒かな 々 颱風24号が又この前のようなコースを辿って来るようだ。今日はまだ沖縄辺りをゆっく…

秋の声

○賢治の童話繙けば秋の声 (けんじのどうわひもとけばあきのこえ) ○樫の木はぽとりころころ秋の声 秋甫 ○佇めば何かはじける秋の声 々 ○秋の声あつめて走る電車かな 々 シグナルとシグナレス 「ガタンコガタンコ、シュウフッフッ、 さそりの赤目が 見えたこ…

肌寒や

○肌寒や独りの部屋の灯を燈す (はださむやひとりのへやのひをともす) ○肌寒の丸寝にわれを奪われし 秋甫 ○肌寒し露天風呂して星を見る 々 ○肌寒しオカルト映画が戸を叩く 々 豊受山の頂上はすっかり雲にかかり肌寒い朝である。 今日の肌寒さ、というか鳥肌…

良夜

○友の句のメールに来たる良夜かな (とものくのめーるにきたるりょうやかな) ○明か明かとわが寝所まで良夜かな 秋甫 ○良夜にて心ゆるしてしまひけり 々 ○良夜の道山頭火らし影法師 々 やまなし 宮沢賢治 かにの子どもらはもうよほど大きくなり、底の景色も…

鵙の贄

○鵙の贄イエスのやうに架けられし (もずのにえイエスのようにかけられし) ○朝鵙の早よ早よ早よと事件かな 秋甫 ○贄おいて三日目も鵙は来ず 々 ○探し物まだ見つからぬ鵙の贄 々 なめとこ山のくま 宮沢賢治 小十郎は落ちついて足をふんばって鉄砲をかまえた…

秋桜

○秋桜や身の振り方は風任せ (こすもすやみのふりかたはかぜまかせ) ○秋桜の噂話に揺れる時 秋甫 ○風とゐて心変わりぬ秋桜 々 ○秋桜他生の縁に袖擦りぬ 々 コスモスの詩 与謝野晶子 少し冷たく 匂はしく 清くはかなく たよたよと コスモスの花 高く咲く 秋…

曼珠沙華

○あの世から赤い糸張る曼珠沙華 (あのよからあかいいとはるまんじゅしゃげ) ○曼珠沙華咲き切って絡まりにけり 秋甫 ○曼珠沙華中華の街の灯を愛す 々 ○彼岸花葉を忘れきて寂しけり 々 下の畑の畦に咲いていた彼岸花を切ってきて机の上に置いてみた。何かを…

秋の雨

○秋の雨ようすの知れぬ便りかな (あきのあめようすのしれぬたよりかな) ○秋雨やなかなか来ないメール待つ 秋甫 ○秋雨の止んでつくつくまた啼くや 々 ○秋の雨降ったり止んだり虫の声 々 今年は何処へ行ってもまだコスモスを見かけない、いつまでも猛暑がつ…

男郎花

○男郎花はなの下など長かりし (おとこえしはなのしたなどながかりし) ○男郎花案外心細やかし 秋甫 ○男山隠して咲くや男郎花 々 ○七草に入れてもらへぬ男郎花 々 男郎花はやはり枝がパキパキしていて白がいい。去年北陸の旅をしたと時那谷寺へ行ったがその…

草の穂

○草の穂や汽水の風を右左 (くさのほやきすいのかぜをみぎひだり) ○草の穂に軍配振るやがき大将 秋甫 ○草の穂を分けて海への小径かな 々 ○草の穂の夜露に濡れて帰り道 々 三日目の釣り行脚は雨になって牟礼、庵治の半島の港を次回のために車で回って調べる…

虫の闇

○車中泊一歩が外の虫の闇 (しゃちゅうはくいっぽがそとのむしのやみ) ○草枕昼の波音夜はむしの闇 秋甫 ○波音のやがては深き虫の闇 々 ○虫の闇足もとさぐる旅ねぐら 々 12時を回ると大きな街灯は消されて暗く、トイレにでると文字通り虫の闇の中を歩む状態で…

○鯊の目の哀しみ隠す色目金 (はぜのめのかなしみかくすいろめがね) ○草の穂を鯊釣りの子が踏みゆけり 秋甫 ○鯊の餌の沙蚕(ごかい)の鼓動指先に 々 ○針呑んでおどけて見える鯊の貌 々 朝6時出発で、釣り旅人となった。今回は香川県の方面の東回りである。…

新生姜

○新生姜刻んで漢よろこばす (しんしょうがきざんでおとこよろこばす) ○新生姜年端も行かぬひね生姜 秋甫 ○新生姜ほんのり紅を指してをり 々 ○頑なに一家眷属大生姜 々 新生姜を大量に頂いた。葉生姜でもなく、谷中生姜でもない、大生姜である。これを3か月…

秋簾

○秋簾学童の声高くなり (あきすだれがくどうのこえたかくなり) ○秋簾今朝は翠波に雲掛かる 秋甫 ○午後の陽を切子細工に秋簾 々 ○秋蝉の別れを告げる簾かな 々 わが家の簾は台風21号の時外したそのままである。午後の西日が畳の上に日々領域を喰い込ませる…

老人の日

○百歳が七万人に老人の日 (ひゃくさいがななまんにんにろうじんのひ) 115歳の田中力子さん ○喜寿などはお世話する役敬老会 秋甫 ○老人の日や優先席を若者に 々 ○敬老日長寿の国に吾もゐて 々 百歳以上の日本の人口が毎年増えつづけて今年67824人となったと…

蟷螂

○蟷螂はコンパスをもつ数学者 (とうろうはコンパスをもつすうがくしゃ) 蟷螂 ○蟷螂の新陰流に構えをり 秋甫 ○葉の上のかまきりヨガの修行かな 々 ○かまきりの鎌ふるように酔っ払い 々 雨は降ったり止んだり、秋雨前線が本州付近で停滞しているのだ。少し蒸…

葡萄

○一房の葡萄の箱の仰々しい (ひとふさのぶどうのはこのぎょうぎょうしい) 山ぶどう ○葡萄棚に木漏れ日ゆたか実のなかり 秋甫 ○ぶどう好きとたとへ孫に言われても 々 ○山ぶどう黒い順から甘かりき 々 山ぶどうは食べられるが野ぶどうは食べられない。めくら…

ちちろ

○上がり来て身の上話すちちろ哉 (あがりきてみのうえはなすちちろかな) つづれさせ(綴れ刺せ) ○ちちろ鳴くかの一匹や便所の裏 秋甫 ○一徹にちちろ一つが夜も昼も 々 ○独り居につづれさせなど来て鳴きぬ 々 【綴れ刺せ】はコオロギのことである。 蟋蟀の…

新涼

○新涼の心に添へる朝かな (しんりょうのこころにそえるあしたかな) ○新涼を大吟醸の喉越しに 秋甫 ○大吟醸飲めば新涼入りきたり 々 ○新涼や仕切り直してペンを執る 々 どうやら京都では、私が随分と老人になったように見ているようだ。最近とみにお腹の周…

二百二十日

○変哲のない風が今日二百二十日 (へんてつのないかぜがきょうにひゃくはつか) 昨日帰四 ○二百二十日途中の駅で降ろされる 秋甫 ○野分に口あけ体内の大掃除 々 ○鴉が呼ぶ野分の去った鉄柱で 々 昨日「しおかぜ」は走っている途中の車中で、大雨の影響で今治…

菊酒

○菊浮かべ大吟醸の京の酒 (きくうかべだいぎんじょうのきょうのさけ) 重陽の日 ○重陽の丘より船にハンケチ振る 秋甫 ○重陽や黄檗山に写生する 々 ○遺されて独り菊酒呑んでをり 々 9月9日は重陽の日。 この日、お酒に菊の花弁を浮かべて飲むと長寿に恵まれ…

種茄子

○北山の裾野荒びて種茄子 (きたやまのすそのすさびてたねなすび) 松ヶ崎にて ○秋茄子の小ぶりとなりし京野菜 秋甫 ○秋茄子の雨のしずくに膨らみぬ 々 ○種茄子の醜く割れて痛々し 々 マンションの北側も南側も菜園になっていたが、今年の特別な暑さのため園…

濁り酒

○濁り酒欅揺らせる風とゐて (にごりざけけやきゆらせるかぜといて) 松ヶ崎にて ○故郷の期間限定濁り酒 秋甫 ○濁り酒早稲田に鎌の入れらるる 々 ○濁酒(どぶろく)を片膝立ててオモニ注ぐ 々 3階の窓に欅の木の葉が揺れている。ショウルームのようなガラス…

秋の蚊

○秋の蚊におどけお顔の羅漢さん (あきのかにおどけおかおのらかんさん) 京都滞在 ○秋の蚊や嵯峨野の奥に寂聴庵 秋甫 ○化野に風葬ありて秋蚊かな 々 ○秋の蚊の哀れ化野石仏 々 午前中は伏見の酒蔵大蔵記念館の見学と試飲。午後は宇治の平等院拝観。 阪急電…

露の世

○露の世の今日一日を宝とせむ (つゆのよのきょういちにちをたからとせむ) 京都行き ○朝露や今日は今日の風吹かむ 秋甫 ○草の露玉に並びて子沢山 々 ○芋の露兄弟姉妹みな一つ 々 京都の娘一家を訪れる。婿殿の母上とも打ち合わせて合流する。一先ず久しぶり…

槿

○花槿今朝は野分の戸を閉てる (はなむくげけさはのわきのとをたてる) 颱風21号 ○底紅の底をのぞいて行く人も 秋甫 ○紅垂らす和紙のごとくに花むくげ 々 ○白槿花嫁さんの綿帽子 々 颱風21号は徳島に上陸して、午前午後の2,3時間の間にさっと走り去ったとい…

銀漢

○銀漢や森は獣の目に光る (ぎんかんやもりはけもののめにひかる) ○天の川見てゐて飛沫(しぶき)かかりけり 秋甫 ○流れ星飛行機の灯が跡を追う 々 ○流星のつぎつぎ現れて密(ひそか)なり 々 月は半月でちょっと夜空は暗くなっているが、火星だけは依然赤…

秋刀魚

○大漁のさんま重機に投げ出さる (たいりょうのさんまじゅうきになげださる) ○家に来て一匹付けの初秋刀魚 秋甫 ○新秋刀魚ブランド品の目になりぬ 々 ○さんま焼き庶民の二文字思い出す 々 秋刀魚の季節がやってきた。 秋刀魚の歌 佐藤春夫 あはれ 秋かぜよ …

厄日

○厄日とて達磨の如く座りをり (やくびとてだるまのごとくすわりおり) ○二百十日恵みの雨と風すこし 秋甫 ○防災日泥縄式は日常のこと 々 ○吹っ飛んだブログのゆくへ今日厄日 々 雨が降った。 颱風21号はまだずっと南の方だから、秋雨前線の方が南下してきた…