2017-03-01から1ヶ月間の記事一覧
○鳥曇打球の消ゆる甲子園 (とりぐもりだきゅうのきゆるこうしえん)
○囀りの何か急かるることあらむ (さえずりのなにかせかるることあらむ)
○山肌に家あり人の畑打つ (やまはだに家ありひとのはたけうつ)
〇桜餅ぺらりと取れし桜の葉 (さくらもちぺらりとれしさくらのは)
○青き踏み吉野の淵にラフティング (あおきふみよしののふちにラフティング)
○雲を抱く龍にも天の高かりし (くもをだくりゅうにもてんのたかかりし)
○囀りや一直線の愛もあり (さえずりやいっちょくせんのあいもあり)
○青饅を噛めば次々真相が (あおぬたをかめばつぎつぎしんそうが)
○暖かや野に寝転がる孕み猫 (あたたかやのにねころがるはらみねこ)
〇木の芽吹く鬱の芽も吹く鬱々と (きのめふくうつのめもふくうつうつと)
○明け六つの鐘聞き逃す彼岸寒 (あけむつのかねききのがすひがんさむ)
○子には無き朧夜の記憶かな (こにはなきおぼろよのきおくかな)
○本堂の脇障子より沈丁花 (ほんどうのわきしょうじよりちんちょうげ)
○雉あゆむ十五の君の発つる朝 (きじあゆむじゅうごのきみのたつるああさ)
○卒業の後の発表待ちにけり (そつぎょうのあとのはっぴょうまちにけり)
〇自失して瀬戸の燧の霞かな (じしつしてせとのひうちのかすみかな)
○藪椿車は町へ往ったきり (やぶつばきくるまはまちへいったきり)
○啓蟄の日の油虫手に掴む (けいちつのひのあぶらむしてにつかむ)
○自画像の鏡に映る花ミモザ (じがぞうのかがみにうつるはなミモザ)
○望潮反骨の老もてあます (しおまねきはんこつのおいもてあます)
○菜種御供受験の後は萎れけり (なたねごくじゅけんのあとはしおれけり)
○引鴨の一つ矩の字を離れをり (ひきがものひとつくのじをはなれをり)
○洛北に蛍雪の功春の雪 (らくほくにけいせつのこうはるのゆき)
○春寒しコーンスープの皿の澱 (はるさむしコーンスープのさらのおり)
○梅咲くや受験地獄は解かれても (うめさくやじゅけんじごくはとかれても)
○料峭や定年の後のをり場所 (りょうしょうやていねんのあとのをりばしょ)
〇女にある生きる図太さ蒲団干す (おんなにあるいきるずぶとさふとんほす)
○奥の間のあやかし目覚む春の闇 (おくのまのあやかしめざむはるのやみ)
○雛の唄止めよと謂はぬ二歳の娘 (ひなのうたやめよといわぬにさいのこ)
○卒業歌まだ初々し喉仏 (そつぎょうかまだういういしのどぼとけ)