2015-05-01から1ヶ月間の記事一覧
◦雨一日草木も知るか五月尽 (あめひとひくさきもしるかごがつじん)
◦モンローの唇寄せて靭草 (モンローのくちびるよせてうつぼぐさ)
◦蚕豆に一振り昼のサスペンス (そらまめにひとふりひるのサスペンス)
◦鴉の子変哲もなく昼巣立つ (からすのこへんてつもなくひるすだつ)
◦はしゃぎめな姑の声も田植時 (はしゃぎめなしゅうとのこえもたうえどき)
◦夏曙ねじまき鳥は窓に来る (なつあけぼのねじまきどりはまどにくる)
◦子は五羽でリピゥーリピューと夏燕 (こはごわでリピューリピューとなつつばめ)
◦万緑や法の字見えし京の山 (ばんりょくやほうのじみえしきょうのやま)
◦そら豆やひとり娘に羨まれ (そらまめやひとりむすめにうらやまれ)
◦旅終えしホームの荷物若葉風 (たびおえしホームのにもつわかばかぜ)
◦緑陰や京都大原寂光院 (りょくいんやきょうとおおはらじゃっこういん)
◦大原女の小径を行けば紫蘇の花 (おはらめのこみをいけばしそのはな)
◦嵐電の帷子の辻風薫る (らんでんのかたびらのつじかぜかおる)
◦化野の竹皮を脱ぐ無縁仏 (あだしののたけかわをぬぐむえんぶつ)
◦立ち砂に葵の神の五月かな (たちすなにあおいのかみのごがつかな)
◦舎人らに葵祭や牛の尿 (とねりらにあおいまつりやうしのばり)
◦真っ直ぐに烏丸通夏上がる (まっすぐにからすまどおりなつあがる)
◦白靴と鍔弘帽子孫に逢う (しろぐつとつばひろぼうしまごにあう)
◦辣韮とおたふくの酢と広口瓶 (らっきょうとおたふくのすとひろくちびん)
◦夏嵐蛙は闇に息殺す (なつあらしかえるはやみにいきころす)
◦白鵬もいつか敗れる草相撲 (はくほうもいつかやぶれるくさずもう)
◦母の日や鳩も鴉も子を抱きぬ (ははのひやはともからすもこをだきぬ)
◦早乙女の田傘に紅緒田植唄 (さおとめのたがさにべにおたうえうた)
◦まだ蒼き五月の月に誘われる (まだあおきごがつのつきにさそわれる)
◦水をえて蛙の夜や夏兆す (みずをえてかえるのよるやなつきざす)
◦草引けば酢漿の実のわれを撃つ (くさひけばカタバミのみのわれをうつ)
◦罌粟開く散る瞬間を予告して (けしひらくちるしゅんかんをよこくして)
◦麦の風父の軍歌に七十年 (むぎのかぜちちのぐんかに七十ねん)
◦麦笛のようよう唄となり響く (むぎぶえのようよううたとなりひびく)
◦麦笛が鳴って行く人驚かす (むぎぶえがなっていくひとおどろかす)