2014-08-01から1ヶ月間の記事一覧
◦蟋蟀の走り吃音しオノマトペ (こおろぎのはしりどもりしオノマトペ)
◦新秋や白地図を塗る峡の町 (しんしゅうやはくちずをぬるきょうのまち)
◦鳩笛のホウホウ呼べば秋の声 (はとぶえのホウホウよべばあきのこえ)
◦豚の群れ崖なだれ落つ秋の海 (ぶたのむれがけなだれおつあきのうみ)
◦流星の万物音を止める一瞬 (りゅうせいのばんぶおとをとめるとき)
◦爽やかや興に乗りたる長手紙 (さわやかやきょうにのりたるながてがみ)
◦新涼の手に英語辞書繰ってみる (しんりょうのてにえいごじしょくってみる)
◦二階の人に声かける鰯雲 (にかいのひとにこえかけるいわしぐも)
◦オカリナを誰か吹くらし今朝の秋 (オカリナをだれかふくらしけさのあき)
◦路地裏の菓子と福引き地蔵盆 (ろじうらのかしとふくびきじぞうぼん)
◦今朝の秋鼬の道を迷ひけり (けさのあきいたちのみちをまよいけり)
◦ひょっとこに口の虚や夜の秋 (ひょっとこにくちのうつろやよるのあき)
◦妹をまた泣かせ居り残暑かな (いもうとをまたなかせおりざんしょかな)
◦蜩や樹々の昃るをかの世とす (ひぐらしやきぎかげるをかのよとす)
◦カナカナのなかなか切れぬ一息よ (カナカナのなかなかきれぬひといきよ)
◦送り火や吉田山より大文字 (おくりびやよしだやまからだいもんじ)
◦復員の父に旗なし終戦日 (しゅうせんのちちにはたなししゅうせんび)
◦「挽歌」なる映画観し日の夏おわる (ばんかなるえいがみしひのなつおわる)
◦娘らいねばカナカナ鳴いて夕暮れる (こらいねばかなかなないてゆうぐれる)
◦南北へ声の通りぬ夏座敷 (なんぼくへこえのとおりぬなつざしき)
◦船虫の親も子も居ててんでんこ (ふなむしのおやもこもいててんでんこ)
◦嵐の目のど真ん中に蝉しぐる (あらしのめのどまんなかにせみしぐる)
◦稲妻の信号解けず雨戸引く (いなずまのしんごうとけずあまどひく)
◦蛞蝓の寄らず離れず二匹かな (なめくじのよらずはなれず二ひきかな)
◦少女帰りて怪談の興さめし (しょうじょかえりてかいだんのきょうさめし)
◦帰省子のみるみる積める寿司の皿 (きせいしのみるみるつめるすしのさら)
◦雨去れば蝉のしぐれし子を迎ふ (あめさればせみのしぐれしこをむかふ)
◦焼酎の度の上がりゆく暑気払い (しょうちゅうのどのあがりゆくしょきばらい)
◦日曜のテレビ出水を繰り返す (にちようのテレビでみずをくりかえす)
◦白桃の薄化粧した固さかな (はくとうのうすげしょうしたかたさかな)