2016-03-01から1ヶ月間の記事一覧
○春潮やたゆたふ浮の遡る (しゅんちょうやたゆたふうきのさかのぼる)
○マテ貝の塩に跳び出す霾晦 (マテがいのしおにとびだすよなぐもり)
○霾天や弘法市の古着売り (ばいてんやこうぼういちのふるぎうり) 弘法さん 毎月二十一日は「弘法さん」と呼ばれて東寺の境内に露店商が出た。子供の頃に両親に連れられて時々行った記憶がある。地べたに並べられた商品を手に取って値踏みするのであるが春…
○春暁や兎と亀の夢みてり (しゅんぎょうやうさぎとかめのゆめみてり) [春の夢」 先週2015年の俳句集を完成したころである。小冊子のタイトルもそうであるように、まとめてみると「夢」の句を随分作っていることに気づいた。現実からの逃避を試みている…
○春雷や痴呆が立てり勝手口 (しゅんらいやちほうがたてりかってぐち)
○青き踏み幼児の足裏甦る (あおきふみようじのあうらよみがえる)
○春祭義農の宮に餅拾ふ (はるまつりぎのうのみやにもちひいろふ)
○土筆らの集団転居さき不明 (つくしらのしゅうだんてんきょさきふめい)
○青き踏み大地の端を取り戻す (あおきふみだいちのはしをとりもどす)
○遠野火のゆくえアラブの春憂う (とおのびのゆくえアラブのはるうれう)
○野火守の風の行手に走りけり (のびもりのかぜのゆくてにはしりけり)
○鳥帰る北の大地を疑わず (とりかえるきたのだいちをうたがわず)
○沈丁花雨止む午後の人を待つ (ちんちょうげあめやむごごのひとをまつ)
○春疾風交番のビラ剥がしいく (はるしっぷうこうばんのビラはがしいく)
○宇宙翔ける夢を答辞に卒業子 (そらかけるゆめをとうじにそつぎょうし)
○三味線草べんべんべんと撥が飛ぶ (しゃみせんそうべんべんべんとばちがとぶ)
○涅槃会の絵図の寝釈迦に朱の衣 (ねはんえのえずのねしゃかにしゅのころも)
○変わり雛花さか爺もポチもいて (かわりびなはなさかじいもポチもいて) 茨城県真壁の変わり雛
○まんさくや旅の一団にぎやかし (まんさくやたびのいちだんにぎやかし)
○機を出れば日本に降る春の雨 ((きをでればにっぽんにふるはるのあめ)
○震災忌あの日も目刺焼いていた (しんさいきあのひもめざしやいていた)
○春灯や乾坤にある逢魔時 (しゅんとうやけんこんにあるおうまがどき)
○目刺焼く匂ひ残れる午後の部屋 (めざしやくにおいのこれるごごのへや」
○春の雷味見の汁を溢しけり (はるのらいあじみのしるをこぼしけり)