2018-11-01から1ヶ月間の記事一覧

冬帽子

○毛糸帽部屋に被りし独りかな (けいとぼうへやにかぶりしひとりかな) ○昔々アナーキストの毛糸帽 秋甫 ○上野公園手垢のニット帽子かな 々 ○冬帽や「蟹工船」の男たち 々

山茶花

○山茶花に一気呵成の散華かな (さざんかにいっきかせいのさんげかな) ○山茶花の身も世もなしに散ってをり 秋甫 ○山茶花や昔長屋の井戸の根際 々 ○山茶花の咲いて散って賑やかし 々

暮早し

○殊の外昼餉の後の暮早し (ことのほかひるげのあとのくれはやし) ○暮早し昼餉の茶碗出でしまま 秋甫 ○惣菜の値の半額や暮早し 々 ○短日や朝餉昼餉に夕餉かな 々

石蕗の花

○今日もまた人待ってゐる石蕗の花 (きょうもまたひとまっているつわのはな) ○石蕗咲いてすこし明るい午後の雨 秋甫 ○石蕗の花曇天の端曳き寄せる 々 ○石蕗の花首切って葉を寄せにけり 々

小春日

○小春日の瀬戸はきらきら兎波 (こはるびのせとはきらきらうさぎなみ) ○外湯から瀬戸の小春を覗きをり 秋甫 ○小春日や中風は鍋を抱へをり 々 ○小春日や指で背押せばあの世かな 々

三の酉

○三の酉あって今年の火の用心 (さんのとりあってことしのひのようじん) ○猫の見る吉原越しに酉の市 秋甫 ○風吹けば火の戸締りを三の酉 々 ○売れ残る於福も売れて三の酉 々 今日11月25日は三の酉の日である。 酉の日が3回ある年は火事が多いという言い伝え…

葱刻む

○葱刻む窓に製紙の煙立つ (ねぎきざむまどにせいしのけむりたつ) ○停泊の真白き船や葱刻む 秋甫 ○葱ぬいて鈍色の瀬戸迫りくる 々 ○船の灯や夕餉の葱を刻みけり 々 急遽新居浜の居住へ応援に行くことになった。 今度はベランダのデッキの修理である。この前…

一葉忌

○一葉忌駅に火鉢の埋め火や (いちようきえきにひばちのうずめびや) ○一葉忌母の手職の糊をねる 秋甫 ○幾つかの母の思い出一葉忌 々 ○一葉忌母には何も教わらず 々

木の葉髪

○パソコンのキーの隙間に木の葉髪 (パソコンのキーのすきまにこのはがみ) ○強者も世に鞣されし木の葉髪 秋甫 ○汝と吾と紛うことなき木の葉髪 々 ○木の葉髪おかっぱの子は幾星霜 々

柊の花

○柊の花距離おいて暮しをり (ひいらぎのはなきょりおいてくらしをり) ○柊の花より棘の大きけり 秋甫 ○柊の花も棘だに吾になし 々 ○柊の棘に守られ花浄し 々

落ち葉

○絵にすれば虫食いもよき落ち葉かな (えにすればむしくいもよきおちばかな) ○落ち葉焚きキツネの気持ち乗りうつる 秋甫 ○楓落ち葉「葉っぱのフレディ」かもしれぬ 々 ○落ち葉踏んで瓦礫を歩く巨人のごと 々

冬の雨

○冬の雨旅行案内書など広げ (ふゆのあめりょこうあないしょなどひろげ) ○新聞のビニール袋冬の雨 秋甫 ○スーパーの安売り卵冬の雨 々 ○冬の雨緑茶を淹れて腰据える 々

冬の虹

○冬の虹瀬戸を架けんと伸ばしけり (ふゆのにじせとをかけんとのばしけり) ○アトリエの二階に見える冬の虹 秋甫 ○冬の虹北欧の旅計画す 々 ○ヒョドルに立ち上がりたる冬の虹 々

冬ぬくし

○漁師らの潮の匂いや冬ぬくし (りょうしらのしおのにおいやふゆぬくし) ○冬暖か港に糶の終わる頃 秋甫 ○糶済んで空のトロ箱冬ぬくし 々 ○冬ぬくし猫も糶見る魚市場 々

冬の虫

○踏石に緑色して冬の虫 (ふみいしにみどりいろしてふゆのむし) ○冬の蜂虚しき足の動きかな 秋甫 ○冬の蟻畳の角を曲がりけり 々 ○お前たち種を残したか冬の虫 々

冬めきぬ

○貼り替えて障子立てれば冬めきぬ (はりかえてしょうじたてればふゆめきぬ) ○冬めくやめっきり猫も現れぬ 秋甫 ○ふゆ兆す峠の道を隣町 々 ○午後の陽や露店の婆へ冬兆す 々

返り花

○返り花逢うて喋って別れけり (かえりばなおうてしゃべってわかれけり) ○泣きもせず笑いもできぬ帰り花 秋甫 ○帰り花高き声出す無人駅 々 ○咲けばまたそれで哀れや帰り花 々

大根

○蕪大根煮ても漬けても冬旨し (かぶらだいこんにてもつけてもふゆうまし) ○日の菜きて蜜柑を送る滋賀愛媛 秋甫 ○日の菜漬けて火の色しぼり出してをり 々 ○大根は太きをもって尊ばれ 々 京都のいとこから日の菜の塩漬けを送って来た。後は甘酢をつくってそ…

障子

○山鼻の家に障子の明るさよ (やまはなのいえにしょうじのあかるさよ) ○ながらへば吾を障子の傍らへ 秋甫 ○あの世へも障子を開けて庭つづき 々 ○冬の日の障子に案山子写りけり 々

冬の日

○冬の日や案山子のバス停山の端 (ふゆのひやかかしのバスていやまのはな) 徳島東祖谷名頃の案山子 ○案山子占む公民館の日向ぼこ 秋甫 ○奥祖谷の案山子の里の冬日かな 々 ○案山子らの語らう里の冬日和 々 旧友(職場の同僚)と十数年ぶりに再会。

○富有柿の尊氏に似る面構 (ふゆうがきのたかうじににるつらがまえ) ○柿並べいづれ球子の面構 秋甫 ○渋柿の小さく成りて種多き 々 ○次郎柿継子に辛き薄情け 々 柿の種類は昔は富有柿、次郎柿くらいしか知らなかったが、店にも色々な種類が並ぶようになって…

オリオン

○流星やオリオン座からまた一つ (りゅうせいやオリオンざからまたひとつ) ○オリオンに流星群の一夜かな 秋甫 ○オリオン座にて映画みて冬の夜 々 ○オリオンの腰のベルトに星三つ 々 オリオン座は冬の星座。 いつからだろう、一日一句が4句も作る構成になっ…

紅葉

○裏山の紅葉を追えば工事中 (うらやまのもみじをおえばこうじちゅう) ○裏やまを隣の街へ蔦も紅葉 秋甫 ○袈裟がけに谷を斬りたる蔦紅葉 々 ○余生の中の紅葉に迷う一日かな 々 腰痛の方は如何ですか?(Y・Iさんへ) 立冬も過ぎて冬に突入していますが、この…

立冬

○立冬の山に水汲む街の人 (りっとうのやまにみずくむまちのひと) ○立冬や大歩危に豆腐買いけり 秋甫 ○大根のうまくなりゆく冬となる 々 ○釈迦入滅大根蕪さえ啼きぬ 々 水道が民営化されるかもしれないと。 どこかのワイドショーで、水道水がコーラーより高…

薄紅葉

○伊予に在り京の紅葉の恋しけり (いよにありきょうのもみじのこいしけり) ○伊予なれば海山近く薄紅葉 秋甫 ○薄紅葉伊予路の遍路海に出る 々 ○川魚の紅葉の上に載せられし 々 紅葉の便りが西の方にも聞かれるようになった。が、この辺りの紅葉は物足りない…

冬に入る

○サクソホンの哀しき調べ冬に入る (サクソホンのかなしきしらべふゆにいる) ○駅伝の号砲鳴るや今朝の冬 秋甫 ○冬来る雀ばかりが残りけり 々 ○朝刊のバイクの音も今朝の冬 々 蒲団に包まってシンフォニー サクソホーンの音色をぬくぬくとした蒲団の中で聞い…

神還る

○神還る胸のあたりが温かし (かみもどるむねのあたりがあたたかし) ○お還りは気球かもしれず神迎え 秋甫 ○出雲より風あらたかに神還る 々 ○膝痛を忘れてゐたり神還る 々 日本の神さまは十月には出雲へ集まって地方を留守にするらしい。地球上には様々な神…

文化の日

○文化の日シェイクスピアを出してみる (ぶんかのひシェイクスピアをだしてみる) ○深夜便ラジオに始まる文化の日 秋甫 ○新聞は電子版にて文化の日 々 ○たこ焼きとうどん券買う文化の日 々 文化の日。一年に一度くらいは文化について考えてみるべきかもしれ…

けむり茸

○けむり茸この世も実体なき処 (けむりだけこのよもじったいなきところ) ○スクランブル交差点行くけむり茸 秋甫 ○けむり茸生者必滅会者定離 々 ○宝くじ一等賞などけむり茸 々 生者必滅会者定離、憂き世の習ひにて候ふなり。 解放された安田純平(44)さん…

冬支度

○冬支度芋にも毛布着せてやり (ふゆしたくいもにももうふきせてやり) 日本版GPS「みちびき」の軌道 ○芋鍋に芋食う日々や冬隣り 秋甫 ○冬めきて列島は雲が筋引く 々 ○「みちびき」のGPSに冬隣 々 「みちびき」の運用開始 2010年に1号機が打ち上げられて…