白菜

○若き農夫黄なる白菜育てけり (わかきのうふきなるはくさいそだてけり) ○白菜は白きをもって白菜なり 秋甫 ○すき焼にどんと白菜盛りにけり 々 ○白菜と豆腐の間葱を入れ 々 黄色い白菜を貰った。柔らかくて甘いということである。別の話になるが、白菜の漬…

年用意

○金柑を採って甘煮の年用意 (きんかんをとってあまにのとしようい) ○年用意江戸の技なる箒もて 秋甫 ○塩引きの鮭つるしある年用意 々 ○差し歯ぬけ歯医者へ走る年用意 々 年賀状書は完成して投函をすませた。 庭の金柑が今年はもう色づいている。一粒とって…

賀状書く

○気が付けばとっぷり暮れて賀状書く (きがつけばとっぷりくれてがじょうかく) ○孫に出す賀状は奴凧を描く 秋甫 ○賀状書くや同じ若さに戻りけり 々 ○五十年会わぬ友ゐて賀状書く 々 24日が誕生日の孫にプレゼントの希望を聞けば、「イヤーホーン」がいい…

年の暮

○蒟蒻を群馬みやげに年の暮 (こんにゃくをぐんまみやげにとしのくれ) ○年の暮とて用もなき浮世かな 秋甫 ○年の瀬を上州の湯に浸かりけり 々 ○年の瀬やまだ二つ三つ用もあり 々 みやげの蒟蒻と温泉饅頭を届けて旅は一段落。三日間の朝晩入浴に疲れがでたの…

冬座敷

○久月の糸巻人形冬座敷 (きゅうげつのいとまきにんぎょうふゆざしき) ○冬座敷書院障子に薄明り 秋甫 ○僧に出す座布団一つ冬座敷 々 ○冬座敷鐘震わせる読経の声 々 留守の間の部屋々はしんと冷え込んでいた。我が家にとって冬座敷のイメージは普段は使わな…

○露天風呂きつね注意の赤い貼り紙 (ろてんぶろきつねちゅういのあかいはりがみ) (四日目) ○鬼押ハイウエイから浅間山を間近に見る ○軽井沢(お洒落スポットを散策) ○JAL437便にて帰四(帰着は19時頃であった) 万座高原ホテルに泊まった時、所々に「キ…

冬の宿

○改装の段差躓く冬の宿 (かいそうのだんさつまずくふゆのやど) (三日目) ○上田嬢城址公園(真田氏の居城) ○きのこ村深山 ○浅間酒造 ○大東館泊まり 草津温泉の宿やは変更があって、大東館という宿屋になった。部屋の窓から湯畑が見えるほどすぐ傍ではあ…

冬の百舌

○冬の百舌万座外湯の混浴に (ふゆのもずまんざそとゆのこんよくに) (二日目)のんびり9:30ホテル出発 ○水沢観音 (水沢うどん試食) ○榛名湖(榛名山の山頂に広がるカルデラ湖) ○上州物産館(蒟蒻を購入) ○万座高原ホテル泊 年末年始はスキー客の若…

マフラー

○マフラーして青年のやうに立ちににけり (まふらーしてせいねんのやうにたちにけり) (伊香保温泉.万座温泉.草津温泉 湯ったり温泉の旅) 出発 松山空港 11:55 JAL434便→→羽田空港13:15 羽田空港よりバスにて伊香保温泉 山陽ホテル(泊) 帽…

着膨れ

○着膨れて待つ双子座の流れ星 (着ぶくれてまつふたござのながれぼし) ○重ね着て旅の荷物を軽くせり 秋甫 ○上州の三湯めぐり着ぶくれて 々 ○着膨れて機内通路のコルク栓 々 明日からトラピックスの旅 【絶景露天風呂万座温泉・草津温泉・伊香保温泉 湯った…

討ち入りの日

○討ち入りの日の雪となり蕎麦啜る (うちいりのひのゆきとなりそばすする) ○義士の日や天野屋利兵衛包丁研ぐ 秋甫 ○義士会や企業戦士のヘッド狩り 々 ○正月は忠臣蔵と若大将 々 昭和30年代はやたらと義士ものが流行っていたものだ。正月の興行に忠臣蔵がか…

マスク

○マスク廉価村は静かになりにけり (マスクれんかむらはしずかになりにけり) ○真新しマスクに替えて今日始まる 秋甫 ○マスクして目礼のみの隣人と 々 ○マスクしてICUのひとを看る 々 マスクが安価で流布されるようになった。そのせいかどうか嫌な言葉も聞か…

セーター

○新調のセーターの糸綻ばす (しんちょうのセーターのいとほころばす) ○セーターにベレー被ってアーティスト 秋甫 ○とっくりセーター猪首の頭やっと出す 々 ○お揃いのセーターで引き立てる役 々 小学校の頃、毛糸の真新しいカーディガンを着て登校した初日…

根深汁

○根深汁丸くなった吾独り (ねぶかじるまあるくなったわれひとり) ○一鍋の朝昼晩に根深汁 秋甫 ○根深汁青洟の子の座りゐる 々 ○忘却の淵掻きまわす根深汁 々 幼い頃、母の実家の田舎で祖父母と一緒に暮らしていたので、囲炉裏の思い出は数々ある。働き者だ…

冬霞

○終の地を此処に迷わず冬霞 (ついのちをここにまよわずふゆがすみ) ○冬霞延命治療のこと問わる 秋甫 ○冬霞ゆうれい船のごと行き来 々 ○冬霞ひとりの友は腰を病み 々 2度目の中国旅行は武陵源に行きたいと思っている。

○凩の攫って行きし夜の夢 (こがらしのさらっていきしよるのゆめ) ○凩やこうせつの歌神田川 秋甫 ○真夜に来し木枯太郎朝帰る 々 ○凩のドラマチックに盛り上がり 々 夜半凩一番吹く。

枯野

○枯野広ごり若者の狐貌 (かれのひろごりわかもののきつねがを) ○坊さんの光る指輪や枯野ゆく 秋甫 ○うり坊を連れて枯野の中を来し 々 ○宙返りして狐枯野へ帰る 々 お豊受山に初冠雪。

冬の海

○冬の海終の棲家をここにして (ふゆのうみついのすみかをここにして) ○この冬の海見て五十年過りぬ 秋甫 ○どれほどの荒波もなく冬の海 々 ○父母ほどに叱りをるかな冬の浪 々

枇杷の花

○枇杷の花雨の重みを抱えをり (びわのはなあめのおもみをかかえおり) ○雨の日は雨に向いてる枇杷の花 秋甫 ○枇杷の花実沢山にもなる兆し 々 ○枇杷の花家は途絶えて無かりけり 々

冬苺

○冬苺孤高におごる真紅かな (ふゆいちごここうにおごるしんくかな) ○冬苺ショートケーキの四半分 秋甫 ○冬苺フォレストハウス庭の道 々 ○山裾は葉隠れ勝ちに冬苺 々

冬の雨

○万有の引力を見る冬の雨 (ばんゆうのいんりょくをみるふゆのあめ) ○冬の雨画材の重き鞄提ぐ 秋甫 ○アトリエの画布弛みだす冬の雨 々 ○凧の絵の湿りだすかな冬の雨 々

隙間風

○生き甲斐に目覚めてビルの隙間風 (いきがいにめざめてビルのすきまかぜ) ○隙間風身を寄せ合った昔かな 秋甫 ○隙間風反対意見でて無言 々 ○隙間風古着に継ぎを繰り返し 々

冬紅葉

○生きてゐる色の僅かに冬もみじ (いきているいろのわずかにふゆもみじ) ○温泉郷いく冬もみじ残りしや 秋甫 ○冬紅葉ムンクの叫び橋の上 々 ○冬もみじにも陽の当たる明るさよ 々

十二月

○花道でトンと見栄切る十二月 (はなみちでトンとみえきる12がつ) ○十二月廃墟の記憶始まりぬ 秋甫 ○葱の根をプランタに挿し十二月 々 ○軒先の照る日曇る日十二月 々

冬帽子

○毛糸帽部屋に被りし独りかな (けいとぼうへやにかぶりしひとりかな) ○昔々アナーキストの毛糸帽 秋甫 ○上野公園手垢のニット帽子かな 々 ○冬帽や「蟹工船」の男たち 々

山茶花

○山茶花に一気呵成の散華かな (さざんかにいっきかせいのさんげかな) ○山茶花の身も世もなしに散ってをり 秋甫 ○山茶花や昔長屋の井戸の根際 々 ○山茶花の咲いて散って賑やかし 々

暮早し

○殊の外昼餉の後の暮早し (ことのほかひるげのあとのくれはやし) ○暮早し昼餉の茶碗出でしまま 秋甫 ○惣菜の値の半額や暮早し 々 ○短日や朝餉昼餉に夕餉かな 々

石蕗の花

○今日もまた人待ってゐる石蕗の花 (きょうもまたひとまっているつわのはな) ○石蕗咲いてすこし明るい午後の雨 秋甫 ○石蕗の花曇天の端曳き寄せる 々 ○石蕗の花首切って葉を寄せにけり 々

小春日

○小春日の瀬戸はきらきら兎波 (こはるびのせとはきらきらうさぎなみ) ○外湯から瀬戸の小春を覗きをり 秋甫 ○小春日や中風は鍋を抱へをり 々 ○小春日や指で背押せばあの世かな 々

三の酉

○三の酉あって今年の火の用心 (さんのとりあってことしのひのようじん) ○猫の見る吉原越しに酉の市 秋甫 ○風吹けば火の戸締りを三の酉 々 ○売れ残る於福も売れて三の酉 々 今日11月25日は三の酉の日である。 酉の日が3回ある年は火事が多いという言い伝え…