蝌蚪

     ○池に浮く天の川とて蝌蚪の紐
(いけにうくあまのがわとてかとのひも)
カエルの卵(かと)
       ○繋がれる命の見えて蝌蚪生るる    秋甫
       ○一丈に兄弟姉妹蝌蚪の紐       々
       ○出生地山の池字東蝌蚪        々 
 子どもの頃は滋賀にも京都にも暮らしている近所には小さなため池があって、今時分は池のふちに蝌蚪(カエルの卵)が浮いていたものだ。学校の行きかえりには棒で引っかけてはわざわざ水中から土手に放り上げたりした。それでもゲル状に包まれた蛙の卵はきっとオタマジャクシに孵ったことだろう。近年荒地で乾いた陶器のかけらの中でオタマジャクシになり、何日もしないうちに足が生えて何処かへ姿を消していたのを目撃した。生き物は環境に順応できるようになっているのだとつくづく思ったものだ。日本の村から字という場所がなくなって蛙の出生地も狭くなっただろう。