青木の実
○青木の実おらおらでひとり生ぐるも
(あおきのみおらおらでひとりいぐるも)
○声出せばきっぱり物言う青木の実 秋甫
○青木の実独り暮しを葉に隠す 々
○青木の実シベリウスなど聞いてゐる 々
2017年の芥川賞を取った若竹千佐子氏の「おらおらでひとりいぐも」をちょっと拝借した。青木の実は千両に比べて繊細さや可愛さに欠ける趣がある。例えゴロンとした実になっているにしても女性には赤い実が着く機会がある。氏の第二作目のことなど耳にするが果たして書けるのだろうか。
青木の実には繊細なデリカシーとは少し距離を置く実のような印象をもっているが。音楽でいうならシベリウスの「フィンランディア」が奏でられているような雰囲気かな。
七種粥
○七種粥のごとき平成を閉ず
(ななくさがゆのごときへいせいをとず)
○七種の薺は風に揺れてをり 秋甫
○四人から一人になりて薺粥 々
○薺粥かゆ好きは奈良の茶粥で 々
Eテレでウィーン・フィルの「ニューイヤーコンサート」を聞く。演奏はもとよりこのウィーンの楽友協会の大ホールの重厚さには目を見張るものがある。オーケストラの配置も少し違うようで、舞台前面はヴァイオリンとビオラが占めていて、中段に木管金管奏者、打楽器、さらに一段高い最後部の位置にチェロが並んでいる。聴衆席には時々元国連の事務総長のパンギムン氏の顔が映し出されていた。着物姿の人もちらほら。精一杯の盛装でみな福々しい顔ばかりである。
「エジプト行進曲」では演奏者たちの合唱も入って思わずにんまりする場面もあったりして、「美しき青きドナウ」と「ラデツキー行進曲」を最後に、3時間以上に及ぶ演奏もあっという間に終わった。最初から最後まで通して聞いたのは数年ぶりのことであった。
因みにこの楽しい演奏を指揮したのは、クリスティ・ティーレマン。今年はクラッシック音楽にももう少し興味を持ってみたいものだ。